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REPORT    2014/06/01

機械化で進むバングラデシュの農業革命! ボリシャル視察報告その1

2014年5月20日〜22日にバングラデシュの首都ダッカから南に150km,ボリシャル管区ボリシャル市を訪れました。ボリシャル管区の大きさは日本の長野県とほぼ同じ面積を持ち、ボリシャル市には約53万人が暮らしています。また、ボリシャルは2つの大河が流れ込む、三角州に位置しているため、肥沃な土壌による、米、野菜、ジュートなどの農業が主要産業です。

ボリシャルへはローンチと呼ばれる、ディーゼル船で向かうのが一般的です。ローンチは、毎日、ダッカのショドルガットから定期運行便が出ており、港を夕方に出港し、ボリシャルには明朝に到着します。価格は数100Tkと手頃なため、庶民の足として利用されています。Cocoroスタッフ一同もショドルガットからローンチに乗り、ボリシャルへと向かいました。

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写真: 活気あふれるショドルガットの港の様子

稲刈り機の導入で生産性が8倍に

8時間に及ぶ船旅を経て、ボリシャルに到着し、向かったのは、マダブパサ村です。この村ではバングラデシュで初めて導入されたという、稲刈り機の実例を見学することができました。バングラデシュの農業は、安い人件費を背景に、ほとんどが手作業で行なわれています。田植えから稲刈りまで、季節労働者を多く雇い、昔ながらの鍬や鋤きでの農作業が続けられていました。

しかし、人々の所得向上と都市部への人口の流入により、人件費の高騰が続き、昔ながらの伝統的な農業にパラダイムシフトが始まろうとしています。人件費は、ボリシャル市の中心から40分離れた郊外であっても、5年前の4倍に跳ね上がりました。この人件費の高騰を背景に、耕運機、稲刈り機など、農業の機械化が始まっています。

rice_reaping_machine写真: 小型稲刈り機で稲を刈る実演

見学した稲刈り機は機能性を重視し、小回りの効くシンプルな構造をしています。また、機体はクボタ、エンジンはホンダを使っており、ベトナムで製造され、輸入しています。価格は一台18,500タカ(24300)として販売されています。既にボリシャルに30機、全地区で200機の同稲刈り機が出回っているそうです。

高効率軸流ポンプで作業性、燃費を改善

機械化の波は灌漑用水にも及びます。続いて訪れたのラクンディアです。ランクディアはボリシャル市中心部から車で約1時間離れた郊外に位置しており、米やジュートの生産が盛んです。

お米やジュートの生産にはたくさんの水が必要となりますが、ラクンディアでは乾季にこの水を、近くの川からポンプを使用して汲み上げます。しかしながら、従来のポンプは、燃費が悪い上に、無駄な手間が多く掛かるものでした。吸い上げる水の容量も小さく、遠くの田んぼに水を引くことが困難でした。

ラクンディアでは、東南アジアで普及している軸流ポンプ(Axial Flow Pump、商品名”ジャンボ・ポンプ”)の導入を推進しています。傾斜の少ないところで、大量に水を吸い上げることができ、耕耘機の動力を活用することで燃費を最大50%も削減することができる低価格の画期的な新型ポンプです。

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写真: 近くの川から水を汲み上げる軸流式ポンプ

今回の事例では、以前より40%燃料代を削減し、くみ上げる水量も70%増加したそうです。300m先までの40エーカー(農家70件分の畑に相当)の畑に水を供給することができたそうで、水路の作り方次第では、もっと広がるとのこと。

このジャンボポンプの値段は、現在2万6000円。タイから輸入していますが、地元の大手企業が現地生産に乗り出す予定です。ジャンボ・ポンプは既に200台の導入実績を誇るとのこと。適切な技術が農業生産を変えていく、BOPビジネスの成功事例と言えます。

 

 

 

 

 

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