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REPORT    2014/06/02

農村に広がる流通革命! 農産物の売上げが倍増 ボリシャル報告その2

バングラデシュの農村部ではおよそ28%の人々が、非常に貧しい生活を強いられています。その原因の1つに、”生産した農産物が高く売れないという問題”があります。この問題は、市場で「どの農作物がいつ高く売れているのか?」という情報が不足している点と、農家1軒の農産物の量が小さく、仲買人に安く買いたたかれている点、この2つの現状によって引き起こされています。

今回の視察では、農民達自らが立ち上がり、集荷場の設立、農民グループの結成、仲買人との交渉を行い、農産物の売上げを倍増された事例があると聞き、ボリシャルのハルタ村、カルシャー村を訪れました。

情報と農産物の集積で売上げが倍増

まず、最初に訪れたのはハルタ村です。ハルタ村はボリシャル市中心部から車で50分、そしてそこから船で運河を下ること20分の位置にあります。このハルタ村は僻地にあるため、卸売りのバイヤーが仕入れにきません。また、都市部にどのような需要があり、何が売れ筋なのか情報もありませんでした。さらに、農産物の生産に必要な種や、農機具、肥料や害虫駆除薬も、業者が訪問して売りにこないため、品質の良いものを入手できないままでした。

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 写真: 農作物を市場へ運ぶ、ハルタ村の農民

農民達は、現地NGOのサポートを受けながら、流通改革に取り組みました。まず、流通改革は農民達がグループを結成することから始まります。ハルタ村の農民達が農産物ごとの30程のグループに別れ、このグループごとに、収穫した農産物をまとめ、市場に出荷します。大きなボジュームを確保できるようになり、仲買人への価格交渉力が増し、売上げを増やす事に成功しました。

また、グループ内の農民にも、仲買人から市場の価格動向を得る人、民間企業と質の良い、種、肥料の購入をまとめて交渉する人、など役割を与えました。このようなグループ化と役割の設定で、種、肥料を大量に安く購入し、市場で最も高く売れている農産物を把握し、農産物を高く売るという好循環を生みだすことに成功し、ハルタ村では、流通システムそのものの改革に取り組んだ結果、3年間で売上が倍増しました。

トマト1個から始まる、流通革命の現場

次に訪れたのは、カルシャー村です。カルシャー村は、ハルタ村より更に僻地にあり、ボリシャル中止部から高速ボードで40分、さらに運河を巡った内陸部に位置します。道中には水浴びする子供達、家畜の水牛の群れとの遭遇など、バングラデシュの農村を体感することができました。

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写真: 高速ボートで川を北上しカルシャー村へと向かう

カルシャー村では、ハルタ村で実施されていたような、農産物をまとめ、市場へ売りに行くという仕組みではなく、都市部のバイヤーに来てもらう仕組み、市場を呼び込むためのインセンティブづくりに注力したのです。その戦略は至ってシンプルです。「まずはトマト1品に絞って、方法論を考えよう。」トマトを買いにバイヤーがカルシャー村にくるためには、何をすべきか。その方法を徹底的に考え、試していく。

最初に取り組んだのが、バイヤーが必要とするボリュームの確保です。カルシャー村の農民は、トマト栽培の分担を組織的に割り振り、安定的にトマトが一定のボリュームで供給されるシステムを作ります。次に、仲買人が購入し、運搬しやすいように運河の側にCollection Point(農作物収集所)を設置しました。このCollection pointの設置により、従来は農産物を売るのに1日がかりであった作業も、都市部の仲買人と取引の日時を事前に決める事で、労働時間の大幅の削減に成功しました。広大な土地を利用し、高品質な農作物を大量生産することで、市場へアクセスする道筋が徐々に整備されてきています。

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写真: 農作物集荷場に集まったカルシャー村の人々

取り組みを始めて4年が経過し、今やトマト以外の農産物や水産物にも広がっています、現在取り組んでいるのが飼料用のトウモロコシ生産です。肥沃で、広い土地を利用して、バングラデシュ北部の畜産農家向けに販売する計画とのこと。近くの市場からも隔離されていた南部の僻地の農村が、北部の市場をターゲットに生産計画をたてるまでになっています。

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