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INTERVIEW    2014/08/27

Team Engine: 女性社会起業家のHimikaさんへのインタビュー

 

バングラデシュ人が憧れる女性社会起業家:Team EngineのHimikaさん

ソーシャル・エンタープライズ Team Engineの代表Samira Zuberi Himikaさんは、バングラデシュの生粋の社会起業家として活躍するソーシャル界の第一人者です。本日、Team Engineの事務所にHimikaさんを訪問し、お話を伺いました。自分の心の声に従い、困難な道を切り拓いてきたHimikaさんの言葉はとても新鮮でした。

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Cocoro: Himikaさんの活躍は、多くの人から素晴らしいと聞いています。どういう思いで活動をなさっているのですか。

Himika: 私は生まれながらグラミン銀行との関わりの中で育ってきました。父は、ユヌス博士と一緒にグラミン銀行(の前身)を立ち上げた最初の4~5名の創業者の一人で、創業当時はバングラデシュ中央銀行の職員でしたが、やがて退職してグラミン銀行に尽くすようになります。私はそんな家庭で育ち、グラミン銀行の発展と共に、全国各地を転々とする生活でした。

成長してからは国連やBBC(英国営テレビ)でメディア・コミニケーションの仕事をしていました。どのポジションでも本当に意義のある仕事を任され、大きな成果を出すことができて充実していましたが、いつしか自分の強みをもっと活かして社会に貢献したいという気持ちが強くなってきました。多くの友人や知人は、華やかで安定したキャリアを捨てることに反対でしたが「自分の心に従おう(Listen and follow my heart)」と決心し、Team Engineを立ち上げることにしました。2010年のことです。

Cocoro: 怖くはなかったのですか。

Himika: 怖かったです。しかし、自分を本当に活かすためには、安定から抜け出さなければならないと思いました。安定から抜け出すこと(escape from comfort)は、女性には本当に難しいことですが、その一歩がとても大切です。私は、人の話を良く聞き、その光る部分を引き出し、持っているアイデアや思いを形(仕事)に変えていくことが得意です。自分のその強みを最大限に活かして、社会の変化に貢献したいのです。

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Cocoro: Team Engineのことを教えて下さい。

Himika: Team Engineは、営利企業として、人々の生活改善のための様々な事業を展開しています。バングラデシュの経済社会開発、知価社会への開発、そして人々の真の幸福の追求を3本柱が大きなテーマです。情報やコミュニケーション、イノベーションの創出、一歩を踏み出す勇気や起業家精神といった人々や社会の持っている力を活かして、世界を変えていくソリューションを形にしていきたいと考えています。

創業して最初の1年は、人々の話を聞き、何が問題なのか、知ることに費やしました。そこで分かったことは、アイデアや技術や意思があっても、どうしていいのか相談する相手も見つからず、困っている多くの起業家予備軍がいるということです。バングラデシュが中進国として発展するためには、こうした起業家が育ち、輸出能力を高め、経済的な力を付けていく必要があると考えました。2012年から、Rise for GDP Growthと名付けたプロジェクトをはじめたのは、そうした思いが形をなしたものです。2013年7月に開催した第一回の「National Entrepreneurs Summit」では全国の32,000人の起業家が参加した大きなイベントになりました。このネットワークは広がり、現在20万人の起業家がメンバーとして登録しています。

Cocoro: 他には、どんな活動をしているのですか。

Himika: Team Engineには、30名の技術者から成るR&D(研究開発)チームが、様々な技術開発を行っています。現在注力しているのは、ベンガル語のコンピュータによる文字認識システム(OCR)です。これは世界でも初めての取り組みで、160種類の文字フォントに対応するようになっています。バングラデシュでは、デジタル化できないで埋もれている歴史的、文化的資料が埋もれているので、これを文字認識によってデジタルアーカイブすることを目的にしています。また、目の不自由な方のためのモバイルアプリケーションの開発などにも取り組んでいます。

弊社の技術者はMITの技術者にもひけを取らない優秀なメンバーですよ。海外にはいけないけど、非常に優秀な能力をもった技術者がバングラデシュにいます。そういう人々が活かされるようにしたいと思っています。

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Cocoro: 最後に日本に期待することはありますか。

Himika:日本の芸術、モノをパッケージ化する力、プロダクトデザイン、技術力などに関心があります。こういった日本の強みの一部をバングラデシュにも技術移転できるような仕組みづくりに期待しています。日本とバングラデシュのクロスボーダーの恊働を考えるのであれば、大きな絵を描き、きちんとしたKPI(Key Performance Indicator)を持つべきでしょう。長期的で持続的なアプローチを考え、ターゲットを明確にするのが望ましいと考えます。

私は、まだ一度も日本を訪問したことが無いので、是非、来年あたり行きたいと思っています。

Cocoro: ありがとうございました。

【取材後記】もっと話を聞きたい、取材後の率直な感想です。まっすぐ人の目を見て話す姿勢とはっきりした口調は、強い自信と意思の力を感じました。自らを「Dreamer」と称するHimikaさんは、安定を抜け出してこそ、人の力を真に発揮できると信じ、自ら実践しています。Listen and follow your heart. 矜持を持つことの厳しさと優しさを兼ね備えた女性にお会いすることができて幸せでした。

Team Engine のホームページ

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