JICAバングラデシュ事務所で都市開発・IT関連事業を担当されている狩野剛さんから、ITを活用した様々な事業についてお話を伺いました。現在、同事務所では、ITを活用した「公共バスへのICカード導入」「技術者のためのIT資格制度の導入」「「教育テレビの普及」といったプロジェクトを推進されています。 ICカードは、日本の交通機関では当たり前になっていますが、バングラデシュにおいては初めての試みです。顧客にとって小銭の授受がなくなる利便性の他、公共バスを運営する側にとっても、運転手による不正をなくす画期的な解決法として期待されています。
また、IT資格制度の普及は、システム・エンジニアに日本のIT資格を持たせることによって、海外の仕事を獲得するための競争力をつけることを目的とし、IT産業を強化し、技術者の所得向上に繋げます。さらに、教育テレビの普及は、コンテンツ制作の技術支援や日本のコンテンツのベンガル語訳などを進めており、教育に対するアクセスの機会を拡大することに貢献しています。 狩野さんからは、プロジェクトの成功だけではなく、その問題の本質の部分を正確に捉え、悪循環の原因を見極めることの重要性も学びました。例えば運転手の不正も、ICカードで防ぐだけではなく、根本的な不正の原因となる運転手の低賃金を改善する、所得向上につながるような社会システムのデザインの必要性を強調されておりました。 狩野さん、貴重なお話をありがとうございました。