バングラデシュの50%の地域は、無電化であると言われます。今、そのような無電化地域に、生活を大きく変える画期的なイノベーションが生まれています。無電化の村にソーラーパネルによる小さな発電所を置き、近隣の50世帯に電気を供給するシステムです。その名も「ナノ・グリッド 」。 半年前まで、暗闇の夜を過ごしていた人々が、今や明るい電灯の下で、ケーブルテレビを囲んでクリケットの試合に熱中し、子供達も本を読んだり、勉強したり、様変わりの生活を送れるようになっています。システムのアイデア、課金の仕組み、継続的なビジネスモデルなど、たくさんのイノベーションが詰まったナノ・グリッドは、世界でも最先端のソーシャル・ビジネスの一つでしょう。まだ始まったばかりのシステムですが、今後、大きく広がることが予想されます。
今まで無電化地域の電化とは、電灯によって闇夜を明るくすることが中心でした。しかし、その様子は、今、大きく変化しています。農家の人々を電気利用に駆り立てるキラー家電は、今や電灯ではなく、「テレビ」です。 低電力(11ワット)で、低価格(17インチ型で6千円程度)の液晶テレビ。ケーブルテレビの業者も入り、月々250円程度の料金で、国内外100近くのチャンネルも楽しめます。この程度の支出なら、農村の人々も惜しまないようです。 低電力、低価格のテレビの普及により、無電化地域の電化に関するイメージは大きく変わりました。村の利用者に聞くと、次は低電力の冷蔵庫が欲しいそうです。日本の戦後の3種の神器(電化製品)の普及に似ていますね。