ダッカ市郊外の「ハザリバーグ」という皮なめしや革製品の生産業者が集中する地域にある小さな町工場を視察してきました。代表のザーマンさんは、ブルガリアの大学で生産技術を7年間学んだ後、バングラデシュに戻り、ダッカ大学の美術部を卒業した2名の友人と共に10年前に起業。主に皮革やジュートを使ったバッグを製造販売しています。
まだ建築中という工場の手すりもない狭い階段を上っていくと、ハサミで生地を切る音や、ミシンの音が聞こえ、手作りのカバンづくりの現場が見えてきます。雑然としたフロアで、職場環境や効率は悪いようですが、それぞれ熱心に仕事をされているようです。「デザイン」には力を入れたいとのことですが、まずは「ものづくりの基本」と「職場環境の改善」が必要となるでしょう。
こうした中小企業は、ハザリバーグに数多くあり、環境面や労働条件の悪さ、不透明な経理処理など、様々な課題を抱えています。また輸出するには技術力や販売力が弱く、事業拡大ができないところが大半です。職業訓練や啓蒙活動が、国際機関などによって一部に対して行われていますが、まだまだ不十分です。
バングラデシュの経済が発展する中で、このような中小企業の中から、日本の企業とも提携しうる将来の優良企業が生まれる芽が、きっとどこかにあるはずです。これからもそのような中小企業と対話していきます。