バングラデシュの農業は、安い人件費を背景に、ほとんどが手作業で行われています。田植えから稲刈りまで、季節労働者を多く雇い、昔ながらの鋤や鍬での農作業が続けられています。耕耘機などの農機は、このような安い人件費の前に、コストの高いものとして避けられていました。
しかし、このような伝統的な農作業の方法に、今、パラダイムシフトが始まろうとしています。そのきっかけは、人件費の高騰です。ボリシャル市から40分も離れた郊外の農村でも、人件費は過去5年間で4倍に跳ね上がったと言います。これは、人々の所得向上と都市部への人口流入による人手不足が要因です。
我々が視察したマダブパサ村では、バングラデシュで初めて導入したとされる稲刈り機の実例を見学することができました。この稲刈り機は、機能性を重視したシンプルで小回りのきいたもので、ホンダのエンジンとクボタの機体を使ったベトナム製です。 現在ボリシャルに30機、全地区で200機の同稲刈り機が出回っているそうです。日本企業の様々な農機をバングラデシュに導入する、BOPビジネスのチャンスが到来しているのを感じます。